1. その他

投資想定シリーズその3 – 世界的パンデミックが起きた際の投資先を想定してみた

"Corona virus" Gustav Klimt tasted

『コロナウイルス』
画像抽出:DALL・E2

いわゆるコロナショック時に納得のいくトレードが出来なかったのだが、その理由として曲がりなりにも投資活動を行う上で「心の準備と行動の想定」が出来ていなかったと反省した。

世界的パンデミックという状況に圧倒されて思考停止に陥り、下落していきそうな株価を前に打診的な売りポジすらも持てなかった。情けない話だ。

そうした反省から、思いつく限りの状況に対して想定をしておく事にしたのだが、まず行うべきはコロナ禍での株価やその他の状況を復習しておく事だと気付いた。

いつまた次のパンデミックが起こってもおかしくない状況に我々の世界はある、というのは例えばビルゲイツ氏が「今後20年の間に、50%の確率で再びパンデミックが来るリスクがある」と言っていることからもそうなのだろうし、個人的にも同意だ。

その際にどういった投資活動を行うべきかのたたき台を作る、というのがコロナ禍の状況を振り返る目的である。

コロナショック

経済的な観点からするとコロナショックは一般的には2020年2月20日頃からとされているようだ。SPX500の暴落は3月下旬頃までに34%程度。そこから5ヶ月後の8月には下げを埋めている。

こう言っては何だが、株価変動だけを見ると大した暴落ではない…と今になっては感じる。

他の〇〇ショックとの比較

ちなみにその他の歴史的、世界的な〇〇ショックのS&P 500の下げ幅と同値まで回復するのに掛かった日数(トレード可能日換算)は:

世界恐慌(1929年10月24日~)
下落率:86% 日数:7256日

ニクソンショック(1971年8月15日~)
下落率:48% 日数:1899日

ブラックマンデー(1987年10月19日~)
下落率:29% 日数:402日

ドットコムバブル(2000年12月~)
下落率:49% 日数:1808日

リーマンショック(世界金融危機)(2008年9月15日~)
下落率:57% 日数:1379日

コロナショック(2020年2月20日~)
下落率:34% 日数:117日

(参照:https://www.visualcapitalist.com/sp-500-market-crashes/

およそ100年前の世界恐慌が突出している印象だが、リーマンショックもそれに続く規模の暴落と言える。

また注目すべきは回復に掛かった日数だ。こちらも世界恐慌が2位のニクソンショックのおよそ3.5倍以上と別格だ。他の暴落が全て年単位の回復日数を要しているところ、コロナショックは約5ヶ月で回復。そのスピードに自分も拍子抜けした記憶がある。

為替

2020年2月からは円、スイスフラン高騰。対円、スイスフランでは米ドル、ユーロ下落。ちなみにEURUSDは下落、つまりユーロの方がより売られた。いずれもこのトレンドは8ヶ月前後続きその後大きく反転、完全に行って来いした形だ。

ドルは比較的買われた方だが円(JPY)、スイスフラン(CHF)がより買われた。

スイスフランと(当時は)日本円が安全通貨とされていたから買われたのだろうが、米ドルよりもユーロがより売られた理由としては、コロナ禍がまず欧州を襲ったとか元々経済的に弱っていたというファンダ要因ではないかと思われる。

債券とコモディティ

結果的に債券とコモディティはどちらも全般的に下落した。株式と同様にパンデミックの際は手を出さない方が良いと言える。

コモディティは判るが国債などの債券が売られた理由だが、コロナ感染の世界的な広がりと共に「とりあえずはキャッシュにしてリスク軽減」という考え方が広まった、というのが挙げられる。実際、パンデミック初期は買われていたようだ。

コモディティでも金(ゴールド)は安全資産と言われ有事に強いのではないかと思ったが、債券と同じ理由、つまり”キャッシュイズキング”という事で米株下落と共に売られていった。

ただし、ゴールドは回復が早かったのは事実だ。パンデミックが収束へ向かいそうな気配を感じたら株価よりもベターな投資先として金が挙げられる。言うまでもなくその時の価格水準次第ではあるが。

次のパンデミックがきたら

事前にやる事

パンデミックの規模やウイルスの危険度等によるのは言うまでもないが、まず何よりも株やコモディティの売却だ。債券含め。株では航空会社などの下げが特に目立っていたと記憶している。

もし逆に買うとしたら生活必需品関連とか医療関連だろうが、製薬会社はそのパンデミックへの取り組み次第だろう。そしてパンデミックが収束しそうになったら直ぐ売る。ファイザー(PFE)の値動きを参考にするならそうなる。

暴落底打ちの目安

ただ言うまでもなく、何か特別な理由が無い限り暴落時に株を買う必要は無い。底を打つのを待てばよい。…と考えていて自分はコロナショック時に出遅れて結局何も出来なかったのだが、米株の下落率から判断するといったような考えを持っていなかった。

上記の歴史的暴落の下落率を足してその数で割ると、(86+48+29+49+57+34) ÷ 6 = 50.5%が中央値のようだから、30%程度を超えた辺りから買い下がっていっても良いかもしれない。そしてもし50%に到達したらまとまった金額を入れる、とか。

金融機関が原因ではなく、金融機関へのダメージが比較的高くないタイプの暴落のケースだと早く回復しやすい、というのが今回のパンデミックで見て取れた。「金融システムは棄損していない」とパンデミック中に度々耳にしたものだった。

言うまでもなく今回のパンデミックのケースでは、という事に過ぎない訳だが、1つのケーススタディである事は間違いない。

スイスフラン買い

為替については迷わずスイスフラン(CHF)買いだ。なお円は安全通貨としての機能を失ったと見受けられるため現状ではその候補とはし辛い。

まとめ

株、債券、金を含めたコモディティ等を全て売りそれらをスイスフランに換える。そして米株の下落率が30%を超えたあたりから打診買いを始め50%へ到達することがあれば本格的にイン。ちなみにヘッジとして米ドルも多少は持っていた方が良さそうだ。

…と書いてみて思ったが、これは大作業だ。ポートフォリオを組んでいるような人にとっては特に。何しろそのポートフォリオを一時的にとはいえ取り壊す作業だからだ。取り壊すとはポートフォリオの原型が残らないほど比率を大幅に動かすという意味で。

インデックス投資などの積み立て型投資をしている場合はその部分は残すとか、当然ながらケースバイケースで対処していく事にはなるだろうが。

もっと言うとこれは2020年から始まったコロナショックの際はこうした対応が最善だったという1つのモデルケースで、次のパンデミックにそのまま使えるような対処法では無いことは再度付け加えておく。

related articles

LANGUAGE

INVESTMENT RISK WARNING

投資リスク警告:
当ウェブサイトに掲載されている情報は、投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断に際しては、当ウェブサイト掲載情報のみに依拠することはお控えください。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。リスク要因について、十分に検討されることをお勧めいたします。

FX RISK WARNING

FXリスク警告:
外国為替取引(FX)は高水準のリスクを伴います。レバレッジは一層大きなリスクと損失の可能性を生み出す可能性があります。初期投資の一部、あるいは全部を失う場合もあります。そのため外国為替の取引を実行する前に、投資目的、経験の程度やリスクの許容範囲を慎重に考慮して頂くことをお勧め致します。損失に耐えられない資金投資は絶対に行うべきではありません。外国為替取引のリスクを検討し、不明瞭な点がある際は中立的な財務、税務アドバイザーに助言を求めてくださいますようお願い致します。