1. その他

投資想定シリーズその8 – アメリカで内戦が勃発した際の投資先を想定してみた

Civil War in USA

『米国内戦』
画像抽出:Firefly

コロナショック時に納得のいくトレードが出来なかったのだが、それは「心の準備と行動の想定」という投資活動を行う上で基本的かつ重要な心構えが欠けていたと反省した。

世界的なパンデミックという状況に圧倒されて思考が停止し、どこまでも下落していきそうな株価を前に打診的な買いポジはおろか、売りポジすらも持てなかった。情けない話である。

その反省から、思いつく限りの状況に対して想定をしておく事にした。今回は米国の内戦だ。

かつて南と北に分かれて戦ったアメリカだが、今回は青と赤、保守派と民主派に分かれて…といった戦いに至る経緯自体はここではどうでも良い。どうでも良いと言うか、実際に起こるか否かも含めて現時点では分かりようがないし、ここでは重要ではない。

それよりは、それによって生じる経済的影響、特に投資関連への影響はどのような事が想定されるかを考えてみたい。

万が一実際に本当にそういう事が起こった場合、その内戦特有の事情による要因で株や債券価格は動くこともあるだろうが、そうした事前には判りようがない部分ではなく、ここではあくまで一般的な傾向をとらえておく、という程度の話に留まる。

内戦の規模、期間などに関わらず「内戦が起こった国では通常…」というごく一般的な話しに留まることになるが、コロナやロシア・ウクライナ戦争の時のように株や債券の値動きの簡単な想定すら出来ていない、という状況を避けるというのがこの投稿の目的なので、その程度の深度で良い。

まぁ米国で内戦など万に一つも起こらないだろうが、これはアメリカのみに留まらずそのまま他国のケースの想定にも使える部分もあるはずだ。

ケーススタディ:レバノン、ユーゴスラビア、リビア、シリア

ケーススタディとしては1975年からのレバノン、1991年からのユーゴスラビア、2011年からのリビアとシリアが挙げられる。

言うまでもなくこれらの国は様々な意味でアメリカ合衆国とはかなり違う。場所も成り立ちも社会構造も。そして何より金融・経済における世界的な役割や立ち位置も。

…あまりにも違い過ぎるという懸念はあるが、それでもこれらの国のケースを参考として見ておく価値があると考えるのは、結局のところ投資家の心理を見たいだけだからだ。

投資家の心理、つまり有事の際のリアクションを見る、という観点から考えると経済規模の違いなどを超えて、ある程度参考にできる部分も見えるはずだ。そうなり勝ち、という程度の傾向が判ればまずはそれで良い。

こういう簡単な調べものは当然ながらAIに聞いた。今回はclaude.ai。

当該国の市場への影響をざっくりまとめると…

1. シリア内戦(2011年~)
– シリアの株式市場(ダマスカス証券取引所)は、内戦勃発後に取引が事実上停止
– 国債市場も機能停止に近い状態に
– 周辺国への影響:
– レバノンとヨルダンは難民流入による経済的負担で株価下落
– トルコは当初影響を受けたものの、後に代替市場として恩恵も

2. リビア内戦(2011年)
– トリポリ証券取引所は一時完全停止
– 国債価格は急落、実質的なデフォルト状態に
– 周辺国:
– エジプト、チュニジアの株価も連動して下落
– 特にエネルギー関連企業の株価変動が大きかった

3. ユーゴスラビア内戦(1991-1995年)
– ベオグラード証券取引所の機能が著しく低下
– 国債市場は実質的に崩壊
– 周辺国影響:
– オーストリア、ハンガリーなど近隣国の株価も一時的に下落
– ただし、政治的に安定した国々は投資先として注目され回復

4. レバノン内戦(1975-1990年)
– ベイルート証券取引所が1983年に完全停止
– 国債は実質的なデフォルト状態に
– 周辺国:
– キプロスが代替的な金融センターとして台頭
– ヨルダン、クウェートなどの金融市場が恩恵を受ける

という事だそうだ。まぁ予想通りというか、そりゃそうだろうねという感想しか出てこない結果だが、とりえあえずこれらの事例から見られる共通点としては以下のようになる。

– 内戦国の金融市場は機能不全に陥りやすい
– 地理的に近い国も影響を受けやすいが、それは政治的安定性により大きく異なる
– 代替市場として台頭する国が現れやすい

それに加えて、エネルギーや資源関連企業が大きな影響を受けやすいとも書いてあったが、これは中東という土地柄が関係しているのかは不明だ。

つまり内戦当該国の株式市場は暴落、国債も暴落、通貨価値も暴落、ついでに周辺国も巻き込まれるという最悪の事態が想定される。

米国で内戦が始まった際の対処

これらの事からそうしたニュースが漏れ聞こえ出したら米国株式、米国債、米ドルから完全撤退までを想定した準備が必要となる。少なくとも内戦の初期段階では一旦総撤退しておいた方が無難だと言えそうだ。

市場が取引を停止する可能性もあるだろうから、その前に動ける瞬発力が求められる。…まぁこれに関しては全く自信が無いが。

それに加えてカナダ、メキシコ関連の投資先からも逃げておくべきだろう。北米の物流関連など目も当てられない惨状となりそうだ。

そうした中でどこへ逃げるかと言えば、やはりゴールド、銀などの貴金属だろう。ビットコインは米国株式と連動してしまいそうなので一旦は様子見すべきだと想定する。

金融街の物理的状況も影響

あくまで2025年9月現在の状況から類推した限りでの話だが、もし内戦になるのであれば国際世論が味方しそうな東・西海岸連合と、中部を中心としたその他、という対立構造となるのではないか。

そうした時に金融の中心であるNYがどれだけ戦火を免れているか、という事も状況に影響してきそうではある。

なお、あえて株を買うのであればやはり軍需関連企業という事になるだろう。

米国の金融市場が機能しなくなる意味

それにしてもアメリカの証券取引所が一時的とはいえ閉鎖されるという状況は、世界的に極めて破壊的な影響が出るだろうことは容易に想像できる。

まずG7をはじめ先進国や先進的な国の株価、国債は軒並み強烈に下げるだろう。

通貨はドルストレートペアが特に大きく動くだろうが、短期ではとても手を出せないような極めて荒々しい値動きが想定できる。

米国と覇権争いをしている中国にしても、実際米中は経済的に頼り合っている存在だけに、ネガティブな影響は計り知れないレベルで出そうだ。

代替市場

ただその後の米国の弱り具合によっては中国は投資を呼び込むかもしれないが、それは欧州もだろう。

トランプ現大統領(2025年9月現在)の高関税政策の際にも顕著だったようだが、ヨーロッパは米国がヒヨった際の有力な代替投資先だ。米国から逃げた先には欧州がある。

つまり万が一米国の国際的な力が弱まる場合、EUの力が強まると考えた投資家が多くいたことになる。

そのため代替市場として注目されそうなのはやはり欧州だろう。例えばイギリス辺りだろうか。

まとめ

・米国で内戦が勃発した場合、米国株式、米国債、米ドルから総撤退。
・金や銀などの貴金属に振り変え。
・あえて株を買うのなら軍需産業関連。

その上で、状況に応じて米国株や米国債、米ドルの底値を探る。

また状況次第では欧州市場への代替も考えるべきだろうが、覇権の移り変わりは何十年といった時間軸でゆっくりと進行していくものだ、という事は憶えておきたい。

これまでその他の投資想定シリーズ、例えば第三次世界大戦や世界大恐慌でさえも、米株が30~50%下落したら打診買いといったある程度具体的な想定が出来たが、アメリカ内戦となると、これは米国投資からは(一時的にせよ)総撤退するしかないというのがひとまずの結論だ。

内戦は国にとっては「自滅」のようなもので、他国との戦争や経済的な問題とはその意味合いが違う、というのがひとまず総撤退するべき理由である。

そして言うまでも無い事を繰り返すようだが、NYやLAの友人達の安否を気遣わなければならないような戦いは絶対に起きて欲しくないし、何よりほぼ間違いなく起こらない。

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