1. その他

投資想定シリーズその5 – 日本で大地震が起きた際の投資先を想定してみた

"major earthquake" Pablo Picasso tasted oil painting

『大震災』
画像抽出:DALL・E2

いわゆるコロナショック時に納得のいくトレードが出来なかったのだが、その理由として曲がりなりにも投資活動を行う上で「心の準備と行動の想定」が出来ていなかったと反省した。

世界的パンデミックという状況に圧倒されて思考停止に陥り、下落していきそうな株価を前に打診的な売りポジすらも持てなかった。情けない話だ。

そうした反省から、思いつく限りの状況に対して想定をしておく事にした。

それらを「投資想定」シリーズとして投稿しているが今回はその5回目、日本で大地震が起きた場合だ。

想定する大地震

それが南海トラフエリアか関東(いわゆる首都直下型)かで状況はかなり変わってくるだろうことは想像がつく。

つまりは日本の政治や経済の主要機関が集まっている(集まり過ぎている)東京が機能している場合とそうでない場合では経済的なダメージに差がでるはずだ。

ただ、南海トラフの場合でも例えば富士山が噴火すると火山灰、溶岩で首都機能が停止する可能性があり、この場合にはその差は縮まると考えられる。

いずれにせよ経済活動という観点から、首都機能が生きている場合、停止した場合、で考えてみるのが良さそうだ。

ちなみに、南海トラフと富士山噴火のコンボの場合、経済損失220兆円、死者32万人、ケガ人62万人が予測されているらしい(参照:NHK – 経済損失死傷者数)。

東日本大震災や阪神淡路地震のものと比べてみても想像を絶する規模である。

東日本大震災の時

東京が機能不全に陥っていないパタンで最も参考になるのは、より最近に起こったという意味で東日本大震災の時の状況だろう。

日経株価の推移としては2011年3月11日から2営業日かけて約16%ほど下落した。

「災害に売りなし」という相場格言があるらしいが、暴落とも呼べない程度の下落でかなり拍子抜けである。

為替の方はもう少し影響が顕著で、ドル円の場合は1ドル…

3/10 → 82.97円
3/17 → 76.24円(6.73円(8.1%)の円高)
4/6 → 85.52円(9.28円(12.2%)の円安)

そしてその後は欧州の財政危機などの外部要因でふたたび円高方向へという流れだった。

USDJPY chart around March 2011

17日までの円買いは「有事の円買い」、そこから4月6日までの間に日、米、英、加、欧による協調介入が行われ円安だ。

簡単に言えば、為替は手を出してはいけない相場だった。

現在では有事の円買いは無さそうだとは言え、やはり為替はトリッキーだという印象だ。

そうした状況下で行えそうな行動としては、日経の下落率を見ながら日経関連のETFなどを少しづつ買っていくことだろう。

東京が機能しているのであれば15~20%程度落ちればかなり買いなのではないだろうか。

その他の株価を動かしそうな要因に気を配るのは言うまでもないが。

東京が物理的に機能不全に陥った場合

経済規模が比較的大きい国でその国の経済を一手に担う都市が機能不全に陥るといった事態は、自分の知る限り前例が無い。

およそ100年前の関東大震災の時は東京株式取引所が全焼し2ヶ月ほど取引が停止したらしい。にわかには信じ難いほどのとんでもない話だ。

現代であれば取引所が全焼するとは考え辛いし、万が一何かあっても運用はある程度リモートでいけそうに思える。そして大阪の取引所に一時的に任せるとかの選択肢があり、状況は以前とは大分違うだろう。

ただ、取引自体を大阪に一時的に機能移転できるとしても、東京が止まる事で生じる日本の経済損失が計れない。

コロナでロックダウンの際は人の外出が抑えられたのみで都市としての機能は生きていたので参考にはならないだろう。

日本は国としては、首都直下地震の方は最悪ケースとして死者23000人、経済被害95兆円程度が見込んでいるらしい(参照:朝日新聞

首都機能が停止した場合の過去データが無い

ではそれによって日経がどの程度下げるのか、為替がどの程度円安に動くのかが想定できない。いずれにしても16%程度の下落では済まないはずだ。

東日本大震災の際には東京も影響を受けたが、首都機能が停止するほどのものでは無かった。

他の近い前例としては2010年のチリ地震と2015年のネパール地震がある。

2010年2月27日のチリ地震の際は首都サンティアゴもかなりの被害だったようだが、チリのETF、ECH:USの推移は以下の通りだ。

ECH:USチャート

2015年4月25日のネパール地震の際も首都カトマンズの被害は相当なものだったようである。

ネパールの場合は株価やETFが見当たらなかったため、NPRUSD(ネパールルピー/米ドル)の推移を見てみると以下の通りだ。

NPRUSDチャート

ただし首都機能がどの程度停止したかによる影響は元より、国の経済規模、つまり投資参加者の数や金額、世界経済への影響までを考慮すると参考とするには心許ない感は否めない。

という訳で、ここはその他のショックとの比較からザックリと決めるしかない訳だが、東日本震災の時の2倍、32%程度を一つの目安にしても良いのではないか。

そうするとリーマンショック時の下落率(38%)に届かないが、世界的な影響という観点から見れば妥当ではないかと思われる。

…とはいえ、この数字(32%)を目安として投資をすると、それは俗に言う「お祈りトレード」だ。つまり裏付けされていない根拠でトレードをするという事になってしまう。

それを避けるための「投資想定」なのだから、もし首都機能が停止するレベルの地震が日本で起きた場合は投資を控える。

いや、正確に言えばチャートをテクニカル要因で判断するやり方に切り替える。

まとめ

日本で大地震が起きた際は首都機能が生きている場合は日経の16%下落を1つのポイントとして打診買いを始める。

首都機能が停止している場合には判断をテクニカルに切り替える。

ちなみに、南海トラフ地震と首都直下地震と富士山噴火がまとめて一定期間に起きた場合も、首都機能が停止しているケースに含まれるのでテクニカル重視で判断することになるだろうが、そこはやはり損害の規模や後の影響までを見ながら、という事になる。

それにしても家族や友人の多くが住み、好きな飲食店が多数あり、自身の思い出が東京やその周辺で作られた身としては心底考えたくない想定だ。

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