1. その他

投資想定シリーズその6 – 世界金融危機が起きた際の投資先を想定してみた

"Global financial crisis" David Hockney tasted

『世界金融危機』
画像抽出:DALL・E2

いわゆるコロナショック時に納得のいくトレードが出来なかったのだが、それは「心の準備と行動の想定」という投資活動を行う上で基本かつ重要な心構えが欠けていたと反省した。

世界的なパンデミックという状況に圧倒されて思考が停止し、どこまでも下落していきそうな株価を前に打診的な売りポジすらも持てなかった。情けない話である。

その反省から、思いつく限りの状況に対して想定をしておく事にした。今回は世界金融危機だ。

リーマンショックと呼ばれる2008年前後の世界金融危機の時のことを憶えている人は多いだろうが、それと類似した「金融が震源地」となるショックの場合だ。

世界金融危機が再び起こる可能性

2010年頃以降、その失敗を踏まえて金融システムが強化されたことで同じ様なショックは起こり辛い、と言われているようだ。

だが言うまでもなく絶対に無いとは誰にも言い切れない。

最近チラホラとではあるが、アメリカの商業不動産市場(つまり銀行業含む)を危険視する声も聞こえてきたりとサブプライムローンの代わりとなりそうな対象は割と事欠かないようである。

そのほとんどがメディアなどのただの煽りで、実際には結果的に何も起こらなかったというケースがほとんどだろうとは思う。だが投資をするのであれば万が一のケースには常に備えておくべきだ。

前回の金融危機

金融システムが棄損するタイプの○○ショックは金融市場にとってもその被害は甚大だ、というのは前回の金融危機で思い知った。

何しろ米国株式の下落率は50%以上。1929年末に始まった世界大恐慌に次ぐほどの下落率だったらしい(ちなみに世界大恐慌時は89%)。

しかも下落前の高値更新まで1379日程度。つまり3年以上掛かっている(世界大恐慌時は7256日程度。およそ20年)。

世界大恐慌と比べるとどうしても見劣りしてしまうが、米株が半値以下になり高値更新に3年も掛かった時の重苦しい社会的な雰囲気は憶えている。

当時はNYに住んでいて、金融とは直接関係のない業種でサラリーマンをやっていたのだが、バンカメ等の銀行員からチラホラと聞いていた混乱ぶりは中々お目に掛かれるものではなかった。

S&P 500 Index – 90 Year Historical Chart

SPX500チャート(1900~)
(引用元:https://www.macrotrends.net/2324/sp-500-historical-chart-data

最近の世の中の状況が1920年代に似ている、といった不吉な話がたまに聞こえてくるのが少し気にかかる所だが、20年も経済が停滞する世界恐慌の対策(そんなものがあればだが)は別ページでやろうと思う。

金融危機時の投資

2008年のケースで言うと、このページ(https://inv.jp/stocks/s004/)で書いたレイ・ダリオ氏のオールシーズンズ戦略が参考になりそうだ。

オール・シーズンズ戦略:
株式(S&P 500等インデックス)…30%
中期米国債(7~10年満期)…15%
長期米国債(20~25年満期)…40%

金…7.5%
商品取引(コモディティ)…7.5%

中長期米国債、金を合わせて60%を超える配分だ。

これで2008年の成績は-4%程度、ITバブル崩壊の2002年は+7~8%程度だったようだ。米株インデックスの下落率と比べると凄い話だ。

米国債は数年前(2020年頃)に歴史的大暴落があっただけに、購入には慎重になってしまいそうだが金融危機が来たらそうも言っていられないかもしれない。

個人的には日本円建てで市場最高値を2023年12月に更新したゴールドの方がよほど買い辛いが、火事場ではそんな悠長なことを言っている場合ではなくなるのだろう。

なお、現金も持つならスイスフラン(CHF)か米ドル(USD)だろう。

Gold (XAUUSD) chart

Gold (XAUUSD) chart
(引用元:https://www.tradingview.com/symbols/XAUUSD/

金融危機時に買っても良い分野

大体どのセクターのものであれ株は手放すべきだろうと考えていたが、調べてみると実はそうとも言い切れない。

と言うか、落ちる時は他といっしょに落ちるが回復が早かった銘柄もあったようだ。

検索で見つけたサイト(投資の森:https://nikkeiyosoku.com/blog/lehman-shock-up-stock/)によると、日本株で言えば分野では小売業、サービス業、卸売業、情報通信業、医薬品辺りが早かったらしい。

リーマンショック前の2007年7月とショック後の2009年3月の株価を比べて100%以上だったものが多く含まれていた業種だ。

このうち、上記サイトでは特に情報通信業が暴落に強い業種と言えるとしていたが、2007~2009年頃は時代背景的にもそのセクターの成長が見込まれている状況だった、というのもあったのではないかと思う。

なお、言うまでもなく銀行と保険屋は問答無用で売るべきだろう。

ちなみに、2010年以前、つまり今から14年以上前の話ではあるが…

小売業:ワタミ、ファーストリテイリング、
サービス業:りくなび、楽天
卸売業:日本出版貿易
情報通信業:ウェザーニュース、日本通信
医薬品:ツムラ

などが回復が早かったリストにあった。

知名度が一般人にも高めだと思われる(というか自分が名前を聞いた事がある)企業を挙げてみた。

なお、「上場廃止、倒産、合併など、なんらかの理由で市場から証券コードが消滅したもの(25銘柄)は除外しており…」とも書かれていたが、つまりはこれらのセクターの中でもよく吟味しながら買わなければならないという事だ。

まとめ

金融システムが棄損するようなタイプの暴落が起こったら、

株式30%
中・長期米国債55%
金やコモディティ15%
*オールシーズンズ戦略

を参考にポートフォリオをリバランスする。

何が原因のショックかにもよるが、前回の金融危機を参考にするならSPX500の下落が50%程度に達した所で打診買いを開始しても良い。

株を買うなら

小売業
サービス業
卸売業
情報通信業
医薬品

辺りを調べてみる。

ただ、どんなショック時にも言える事だが、まずドーンと株価を下げた所ですぐさま対応が出来る人はまれだろう。

それがどの程度の深刻なショックなのかなどと考えているうちに株価はサッサと下げていき、もはや保有銘柄は現状を維持(塩漬け)するしかないと思ってしまう所まで下げる。

そうして(場合によっては)何年も身動きが取れない状況に陥る。

こういう状態にならないためにその準備の一環としてこうして書いている訳だが、考えれば考えるほど即座の対応は至難の業だと思い知る。

となると自分が取れる最善の策は普段からポートフォリオをオールシーズンズ戦略に寄せておく、という事なのかもしれない。

普段から

株40%
国債/現金30%
クリプト/コモディティ30 %

ぐらいにしておいて、やばそうだと思ったら株とクリプト/コモディティからそれぞれ10%程度を国債に換えるか、単に売ってキャッシュ(Fiat)にする、というのも手かもしれない。

これで手続きがかなり分かり易くなるが、いずれにせよ難しいものである…

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