1. FX

2015年3月のユロル・パリティ未遂

FX trader sitting in front of computer, exhausted. An illustration.

『デスクで苦悩するトレーダー』
画像抽出:stable diffusion

自分がスキャルピングに近い事もガンガンやっていたFXトレーダー2年目の2015年3月、ユロル(EURUSD)がパリティ($1=€1)割れするんじゃないかという勢いでユーロが下落していた。

ろくにチャートパタンの勉強もせずにTwitter等の情報で何となくポジションを取っていた当時、「パリティ割れか!?」的な話を聞きつけ全財産の半分(位だったと思う)をFX会社に移し、数百倍(400倍程度だったはず)のレバで鼻息荒くユーロ米ドルペアの売りポジを立てた。

15分足を5分足と勘違いするような値動きで売り買いが死闘を繰り広げた挙句、パリティを割ることなくユロルは上昇していってしまったのだが、下落を頭から信じ切っていた自分は損切りの用意が出来ておらず、大損のポジを残したままナンピンと一時的な両建てを繰り返す事で何とか損失をカバーしようと悪あがきを繰り返していた。

気づけばほぼ丸2日間飲まず食わずでチャート画面に張り付いていた。いや、正確にはその間トイレに2〜3回、スパゲッティを半皿ほどは食べた(気が触れたんじゃないかと心配しながら嫁が怖々運んできてくれたやつだ)。

損失への恐怖からか神経が尖り身体的な疲労も忘れてトレードし続け、最後の方は5〜6ポジを持ってそれらを意味も無くクローズしたりと完全に訳が分からなくなっていた。そして最終的には椅子に座り続けていられなくなり、椅子の横で立膝のまま気づいたら寝落ちしたりしていた。まあまあの地獄だった。

ただ、完全に諦めて損失を受け入れ、全てのポジションをクローズし、席を立った時に感じた開放感は忘れられない。…まぁ、目の前でみるみる減っていくなけなしの金に半狂乱、半泣きになりながら儲かる希望が一切持てないトレードを精神的に完全に追い詰められた状態で繰り返した(繰り返さざるを得なかった)時間はもっと忘れられない。

あれから8年、今も自分がトレードをやれているのは「損切り」を徹底しているからだ。そうしないとまたあの時の地獄が待ち構えていると知っているから。

鉄火場と呼ばれる様な状況を好むトレーダーもいるんだろうが、自分には無理だ。あの時自分は相場に近づき過ぎてしまったのだ、と言える。何の戦略も無いまま無理な間合いで戦おうとしていて、それに気付かなかった。

トレーディングという行為と自分との距離感を把握することはトレードにおいて最も大事な事の一つだ、と徹底的に教えられた体験だった。

ちなみに、2022年9月にパリティ割れした時は何だかとても感慨深いものがあった。…まぁただ、7年後にやられてもねぇ…

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