『オーブ』
画像抽出:firefly
このブログでも何度か取り上げてきたワールドコイン(WLD)だが、2024年末頃に個人的にはかなりがっかりしてしまった。
ワールドコインのスマホアプリ内で、パスポートといった身分証明書を提示すればワールドIDが受け取れるというオプションが組み込まれたためだ。
正確にはパスポート、国籍証明、運転免許書の3点が有効な証明書のようだ。
ジャック・ドーシー氏がサム・アルトマン氏にSNS上で「目の情報を盗むな!」とつぶやいたが、その懸念、つまり結局は個人情報の収集が最大の目的なのではないかという疑いがさらに深まった、というがっかりだ。
身分証明書の提出といった従来からある証明を受け入れるのであれば、眼球情報の提供は一体何だったんですかね、という疑問も浮かぶ。
恐らく建前としては、Orb(眼球をスキャンする機械)を物理的に利用出来ない人向けに用意した認証方法、ということではないかと思う。
実際、特にヨーロッパでは法律の関係、個人情報保護の観点からOrb認証が出来ない国が多い。自分も居住国で出来なかったために日本で行った。
といった事情があるのは分かるが、従来の個人認証方法もOKということにすると、個人(人間)証明精度の低下はどう考えても免れない。
ワールドIDの証明精度
個人が物理的にOrbがある所までわざわざ出向いて目をスキャンし、ようやく受け取れるライセンスだったワールドIDだからこそ、(人間だという)証明書として確実性が高かったのは間違いない。
それは運営側も絶対に解っているはずなのに従来の証明書のみもOKとした理由は何か。
人が思ったように集まらず苦しいか、そもそも個人情報さえ集まれば良いと考えていたかのどちらかだろう。
2025年1月現在、登録者数およそ2300万人、人間証明済みおよそ1070万人という利用者数を、運営側が多いと考えているのか少ないと考えているのかは判らないが、
世界中のクリプトユーザーがおよそ4億2000万人と推定されていることと比較しても、個人的にはそれほど絶望的な数字には見えない。
まぁ結局、どちらの理由だとしてもあまりワクワクするような話ではない。
今後について
アプリの利用は一応継続するが、他の取引所で積極的にWLDを購入するようなことはしない。
つまり経過観測としてアプリで毎月申請・受け取りが出来るわずかばかりのWLDは(ありがたく)受け取るが、アプリ内や他の交換所で保有しているWLDは価格を見ながら売却し、新規購入も考えないということである。
早い話が「ユニバーサルベーシックインカム」という壮大でワクワクするような理念の実現可能性に疑問を抱き始めたが、完全な拒絶には至っていないという状態だ。
スパッと切り捨ててしまえば気持ち良いが、個人的にこの理念にはどうしても惹かれるものを感じる。
と言いつつもう一回1WLD=€9をつけるようなことがあれば全売却するつもりだが。
なお、これは最近騒がれているDeepSeekがAI業界を変革してサム・アルトマン氏が終わりそうだからといった理由ではないし、そうも思っていない。全く無関係だ。
というか2025年1月30日現在ではそんなことが予測できそうな段階には至っていない。
いずれにしても、AIを搭載したロボットが街中を闊歩するような未来はすぐそこで、そういう未来を見据えたコンセプトを持ったクリプトがワールドコインだっただけに、率直に残念な出来事だった。