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FXはヨーロッパでやるのが健全 -ハイエナトレード-

Hyena. Banksy tasted painting

『ハイエナ』
画像抽出:DALL・E2

FXトレードをするにあたっての常識だが、ボラが高い時間が1日を通じて2回ある。アジア市場とヨーロッパ市場が同時に開いている時間帯、それからヨーロッパとアメリカの市場が同時に開いている時間帯だ。

その2つの取引量が多い時間に為替値は活発に動くので、特にデイトレーダーはそれらの時間にトレードをする、というのが一般的だ。特に米国市場が開いて2時間くらい(=欧州市場がクローズする前の数時間)が1日で最も取引量が多い。そこを狙う。

特に自分のようなテクニカル重視のトレーダーはそれらのタイミング以外ではトレードをしない方が良いとすら言える。人間心理に基づく「傾向」に賭けるのがテクニカルだから、大口の売買であらぬ方向に動いてしまったりする参加者が少ない時間帯はトレードをしない、というのがFXの常識となっている。そもそも値幅が出ないので儲からないし。

ヨーロッパ・アメリカ時間

ヨーロッパのクローズ、アメリカのオープンが重なる時間は日本では22~24時頃。つまり夕食後、夜だ。
ニューヨークでは9時~、当然ながら朝だ。カリフォルニアでは6時~なので西海岸ではかなり早朝となる。
そんな中、ヨーロッパでは(域内の時差で1~2時間前後するものの)15時~が1日の最大取引時間帯だ。そして朝9時~もアジアが開いているので1日で2番目に高ボラな時間帯となっている。

つまりヨーロッパでは多くの勤め人が働く時間がトレード最適時間となる。EUトレーダーは朝の仕事始めにガーッとやって、仕事終わり前にまたガ―ッとやる、みたいな感じで働けるという事だ。その辺のビジネスパーソンと何ら変わらないタイムスケジュールで。

トレードの時間帯は成績に影響する…と思う

1日のなかで仕事がはかどる時間帯は人それぞれだ、というのは理解している。深夜に集中力が増すので夜に仕事をしている、というIT系自営業者も何人か知っているし、朝4時頃から起きだして午前中に仕事を終えてしまう朝型のフリーランサーも知っている。ちなみに自分の場合も朝型だ。

ただ9時~17時がいわゆる「労働時間」と一般的に広く認識されていて、労働は日中やるもんだと考えている人は多い。というか割合で言えばほとんど大多数の人が仕事は朝から夕方にかけてするものだと考えているし、実際そうしているはずだ。

そうした一般常識と合致した形でトレードができる、できないというのはトレード結果に影響を与えている、と自分は考えている。それは個人トレーダーが極めて孤独な職業で、且つ欲望、恐怖といった感情を揺さぶられる事が多いからではなかろうか。

トレーダーがトレードで感情を揺さぶられている場合ではないのだが、我々は人間なだけにどうしたって感情を完全に排除することは不可能だ。というか感情を上手くコントロールできるようになる事がトレーダーとしての成長だ、とも言えると思う。

そして人間は夜にネガティブな事を考えがちで、感情的になり易いと言われる。統計的に。自分も例外ではない。

であるなら高ボラ時間が常に深夜に訪れる日本やシンガポール、オーストラリアなどのアジア・オセアニア地域での個人トレーダーはそういったディスアドバンテージ(と一般的に考えられる)を背負っていることになる。

高ボラ時間が1日に1度だけ訪れる北米だが、これは機会損失ということでディスアドバンテージである一方、考え方次第では朝に短期一点集中できるとも考えられる。が、いずれにしても欧州は他地域と比べ時間的に好環境であることは間違いない。

アジア地域にもある時間的メリット

だが1点、アジア地域でトレードをする上で他地域にはないメリットがあるとしたら、まさにその時間帯だ。つまりトレード時間が夜なので副業としやすい事だろう。

勤め人でもFXを始めやすいだろうし、仕事を続けながらトレードできるということだ。これは他地域の人には中々難しい場合が多いだろう。

ただ最近は在宅ワークが広まっていることで、この状況はそれにかなり助けていると考えられる。

スキャルパーでもない限り、仕事前にチャートをチェック、そして必要があれば仕事の合間に値動きをチラ見するといった感じで良いだろうし、実際兼業トレーダーはコロナ後に増えているはずだ。

個人的には夕食後にトレードをする気力も意思もないが。

ちなみに下記は世界の”オンライントレーダー”の人口と分布だそうだ。オンライントレーダーとは基本的に個人トレーダーの事だろう。リファレンスを見ると2017年頃のデータのようだがちょっと興味深い(外部リンク、英語サイト)。

https://www.brokernotes.co/forex-traders-map

深夜の低ボラトレードで失敗

2015年のある日

欧州市場のクローズ頃から日本市場オープン頃までに数時間ほど超低ボラな時間帯がある。EUR/USDがあわやパリティかと一部で騒がれていた2015年のある日、1日のトレードを終えた後も何んとなくチャートを眺めていた。

5m足といった15m足以下のチャートでスキャルをしていた時期で、トレーディングが全体的に上手くいっていなかった。少しでも多く稼ぎたいと欲望が空回りしていた感じで、時間対効果は目も当てられない状況だった。

その日もパッとしない成績で高ボラ時間が過ぎ、不完全燃焼しか出来なかった心持でしつこくユロルチャートを開いていた状態だった。

その頃はユーロの壮大な下落を原動力に激しい値動きが続いている時期だった。そうした時期の欧州クローズ後は疲れ果てたかのようにプライスが動かなくなった。

そんな動かないチャートをボーッと眺めていたのだが、ふと1分足チャートを開いてみた。当然ながら1m足チャートでも動いていないのだが、ただその値動きは一定のプライスをキープするシステムが働いているのではないかと思わされるほどごく僅かな、数セントの上下動を繰り返していた。

ハイエナトレード

数セントゆっくり上がり、ゆっくり下がり、その後にその値幅の中心にゆっくりと戻ってくる。それを繰り返していた。たまに更に数セント多めに上下動することもあったが、またゆっくりと中心に戻る。つまり極めて狭い、極小のレンジを形成する値動きだった。

そこでハッと気づいた。今なら値動きが読めるじゃないかと。

使っていた業者もスプレッド0だったか極小だったかで好都合だった。その極小レンジの上限か下限に来た段階でポジを取りわずかな利益が出たら即決済、を繰り返した。

ロットも大きめにした。そうして利益をより大きくしようとした。

たまにそのレンジを外れる事がありヒヤヒヤする事もあった。つまり本当の意味でのレンジではなかったのだが(当たり前だ)、この戦略は概ね上手くいっていた。

数セントを細々と抜いていく作業なので1トレードの利益は微々たるものだがそれを何十回と繰り返す。

ちなみにこのトレード方法を個人的にハイエナトレードと呼んでいる。夜間、ライオンなどが食べ残した僅かな死肉を漁るハイエナの如くトレードするからだ。我ながらナイスなネーミングだと思うが、的を要過ぎていて屈辱的でもある。

疲れ切った時に迫りくる決断の時

それが上手く行きだすと欲が出てきた。つまりロットをさらに上げだした。張る金額を大きくすることで利益を大きくしようと考え始め、危険ではないかと思う程まで実際に上げてしまった。

これが時間外、特に(自分の場合は)夜にトレードをする怖さである。

まず1日の生活をほぼほぼ終えて既に疲れていた事、そして凄いトレード方法に気が付いたと若干興奮していた事、それで気が大きくなり、夜間だったというのも大いに手伝って気が大きくなっていた事。

明るい日の光を浴びながらフレッシュな状態で時間を決めて集中してトレードをしていたならあり得ないリスクの取り方だった。

相場に近づき過ぎてしまったとでも言えば良いのか、変なゾーンに入ってしまっていた感があった。

そうして寝るのも忘れ、オーストラリアがオープンしても大した値幅ではない事を良いことに拡大したレンジでそのトレードを繰り返していた。

そして日本市場がオープンする頃になっても「あともう少しだけ」と考えながらトレードを継続した。

結局、アジア市場が本格的に取引を開始し出した頃に、最後に取った買いポジションが仇になった。

夜間に中央値としていたプライスに戻ることはなく、売り方向に進み出した。そしてそのデカいロットで建てたポジがみるみる含み損となっていった。

そうした時にこそ疲労はとんでもない威力で襲いかかってくる。つまりもはや正常な判断が出来ないのだ。

超低ボラトレードで長い時間をかけて積み上げた利益が一瞬にして消えていった時、あまりにも無慈悲と思われる現実を前に損切りボタンが押せなかった。

当時フォローしていたツイッター(現X)の投稿で「下だ!」というつぶやきをチラッと目にした事を今でもハッキリ覚えている。変なものだ。

その後、判断力も気力も失った状態でそのトレードの処理対応にあたった訳だが、酷いものだった。そのポジションを建てたままロットを減らしてスキャを行って損失分を取り戻そうとしたりといった悪あがきを繰り返した挙句に精魂尽き果て、ハイエナトレードで出した利益の軽く20倍は損を出して終了した。

今になって思うこと

結果的に大損したハイエナトレードはその後行っていない。ただ今になって冷静に考えてみると、小遣い稼ぎには有りなトレード方法なのではないかと思っている。

問題はそういう完璧なナギな瞬間を見つけるのが難しいのだが、そのうち暇になったら検証してみても良いかもしれない。

ただし、もし本当にもう一度ハイエナトレードをするのであればまずは検証。起こりやすい通貨ペア、曜日(金曜深夜などだろうか)、その時間帯などを過去チャートから割り出す。

そしてルールの徹底だ。ロット、損切り幅、トレード時間を厳格に決め、それを必ず守る。

…という手間暇をかけるのであれば高ボラの際に値幅を取れるパタンの検証・トレードをすれば良いだけのことではある。

が、例えばスランプ時とか、通常のトレードが上手くいかない時のメンタル的なサポートにはなるかもしれない。

必要があれば自分はいつでもハイエナになれるのだ、と。

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