1. その他

ロシア-ウクライナ戦争後の投資先を探してみた

War zone

『War zone』
画像抽出:DALL・E3

この投稿は、元々は「投資想定シリーズ」の1つとして、ロシア-ウクライナ戦争が終結した際の投資先を想定するつもりで書き出した。

…のだが、探してみても西側と呼ばれる国に住む個人投資家がオンラインで簡単に投資できそうなETFや株等がそれほど多くは見つからなかった。…というかほとんど無かった。

そのためタイトルを変更し、2024年6月現在も継続しているこの戦争に何とか絡めそうな投資先候補をごく僅かだが挙げてみたい。

ちなみに、個人でなければswissinfo.chのこの記事で書かれているようにGB4U(https://www.gb4u.org/)とかいう団体のメンバー企業になるといった方法等、幾つかありそうではある(*GB4Uに関しては詳しく調べていない)。

だが個人投資家がオンラインでこの戦争に絡んだ投資としてできることはそう多くはない、というのが自分が調べた範囲で判ったことだ。

なぜ戦争当事国への投資を考えるのか

戦争で疲弊しボロボロに崩れた経済、焼野原となった国、あるいは軍事進攻し多くの貿易相手国に経済制裁といったペナルティを課された国に投資を考える理由は、まさにその状況がその理由そのものだ。

これ以上悪くなりようが無い状況に落ち込んだ後は回復あるのみ、という発想だ。簡単に言えば押し目買いである。

不祥事を起こした企業の株価が大暴落した所でその会社の株を買うのと発想は同じだ。

投資先:ネスレとポーランド

ネスレ

前述したswissinfoの記事ではネスレに関しても書かれていた。

多くの外国企業がウクライナから逃げ出したがネスレはウクライナに留まり、操業を続けているそうだ。

2022年12月の記事なので再度調べてみたが、ネスレのサイトにもその事に関する記事が掲載され続けているので、2024年現在も継続しているものと思われる。

開戦当時はロシアでの操業を中々止めずに叩かれていたネスレだが、ウクライナでも活動を続ける何とも骨太な企業である。

という事で、「この戦争に何とか絡めそうな投資先候補」の1つはネスレの株を買う事だ。

…と書いてはみたものの、弱い。

Wikipediaによると従業員数は全体で27万人を超えるそうだが、ウクライナでは5500人が働いているそうである。ということで比率で見ると多く無い。

それと同時に同国にある生産工場のシェアがどの程度かといった部分はちょっと調べた限りでは判らないが、従業員数に比例してそれほどでは無いと考えられる。

そうなると同戦争に絡んだ投資先としてはかする程度と言わざるを得ない。

ネスレチャート
(参照:https://www.google.com/finance/

ポーランド

ちなみに現在、ウクライナの証券取引所は停止、ロシアの株式は動いてはいるが外国人は参加不可という状態のようだ。

ETFにしても、ロシアやウクライナへのエクスポージャーを持つ ETF のほとんどは完全に閉鎖か、あるいは個別のエクスポージャーを放棄している、という状態らしい。

だから自分のような個人投資家は投資先を考えるのに苦労している訳だ。

ただその中でウクライナへの間接的なエクスポージャーがごくわずかだがあるETF が 1 つ継続していて、それがiShares MSCI Poland ETF (EPOL)。つまりウクライナの隣国、ポーランドのETFだ。

EPOLは32のポーランド株からなり、その大半は金融セクター(約40%)だ。EPOLの構成銘柄はオーレンSA(エネルギー)、ポウシェチナ・カサ・オシュチェドノシチ銀行(金融)、Bank Pekao SA (金融)、ディノ・ポルスカSA(生活必需品)といった自分には聞き覚えの無い企業がずらりと並ぶ。
(参照:https://www.etftrends.com/equity-etf-channel/despite-war-ukraine-polish-stocks-ytd/

EPOLチャート
(参照:https://www.google.com/finance/quote/EPOL:NYSEARCA

なぜポーランドなのか

朝鮮戦争が起こった際に日本経済が大きく発展したのと同じように紛争地域周辺国であるポーランドの「戦争特需」を見込む、という事である。

上記チャートで確認できる通り、戦争が始まってからというもの順調に値を伸ばしている。

…という事は最高の買い時は戦争が始まった2022年2月頃だった訳で、既に過ぎ去っているという事になる。それはその通りだ。

だがウクライナと国境を接する国の1つとして、終戦後の復興フェーズに入ってもある程度継続した特需が見込めるのではなかろうか、と考えている。

であれば今から買っておいてもよいのかもしれない。打診買い程度であれば。

ウクライナ領が全てロシアの一部になるとか、またはロシアが核を使った場合などで暴落するリスクは怖いところではあるが。

商品先物取引

ちなみに、この戦争に関連した投資の1つとして、農業大国であるウクライナが多く生産しているコモディティを買うという方法もあるが、EPOLと同じく戦争開始直後が買い時だった。

とうもろこしや小麦といった商品は戦争開始直後に暴騰した。

corn chart

Wheat chart
(参照:https://www.google.com/finance/

チャートからも判る通り、現在は価格が一旦落ち着き出したものの、ここからジワジワと再度上昇してもおかしくないような形状に思える。

新興国ETF

新興国市場(Emerging Markets)で構成されるETFも間接的にこの戦争に関連した投資先と考えられそうに思えるが、一時的にせよロシアが除外されているようなので関連投資先とは言えなそうである。

ウクライナが含まれたETFも探せばあるのかもしれないが、その場合も構成比率がある程度高いものでない限りは戦争の動向による値動きはあまり期待できそうにない。

ウクライナの戦時国債

BBCやその他メディアが報じているように、利回り10%を超える戦時国債が個人でも買える。
(参照:https://www.usubc.org/site/recent-news/war-bonds–invest-to-support-ukraine

ウクライナを支援したかったら有効な支援方法の1つなのではなかろうか。

実際この国債は金儲けのために買うというよりは、元本すら返ってこなくても良いという気概でもってウクライナを支援する目的で購入するタイプの商品なのだろう。

…個人的には「ウクライナ頑張れ」という感情よりは「何でもいいから早く終われ」という感情の方が強いため、買う気にはならないが。

それにこの投稿では戦争が終わった後の投資先を探すのが目的だが、戦時国債が戦後に発行されるのかは不明、というのもある。

争いについての個人的意見

立場の弱いものが強いものからの圧倒的暴力によって殺されていく状況をニュースとして見聞きするのに心底嫌気がさしている。特に人の親として子供が関連するものは本当に見ていられない。

ウクライナに限らずガザもそうだが、話はやたら複雑で、早く終わらせようにも解決の糸口が見つからないというのが現状なのだろう。

一方にとっての解決がもう一方にとっての問題。で殺し合い。その繰り返し。

争いは人類史上絶えたことがないのだから解決じゃなくて先送り。国際問題は先送りがほとんどの場合において最適解な気がしている。

まとめ

ネスレ株やポーランドETF、新興国ETFを買う事が戦争関連投資と呼べるかといえば、かなり微妙ではあるが若干かすってはいるんじゃないか、というのがまとめである。

それ以外では小麦やコーンなどのコモディティを買う、という方法もあったが買い時は戦争開始直後だった。

最もハッキリと戦争関連投資と呼べるものはウクライナの戦時国債を買う事だが、極めて高リスク。

イベントドリブン投資は適格な情報と経験を事前に持っていて初めて取り組める代物と言えそうだ。難しいものである。

related articles

LANGUAGE
INVESTMENT RISK WARNING
投資リスク警告:
当ウェブサイトに掲載されている情報は、投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断に際しては、当ウェブサイト掲載情報のみに依拠することはお控えください。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。リスク要因について、十分に検討されることをお勧めいたします。
FX RISK WARNING
FXリスク警告:
外国為替取引(FX)は高水準のリスクを伴います。レバレッジは一層大きなリスクと損失の可能性を生み出す可能性があります。初期投資の一部、あるいは全部を失う場合もあります。そのため外国為替の取引を実行する前に、投資目的、経験の程度やリスクの許容範囲を慎重に考慮して頂くことをお勧め致します。損失に耐えられない資金投資は絶対に行うべきではありません。外国為替取引のリスクを検討し、不明瞭な点がある際は中立的な財務、税務アドバイザーに助言を求めてくださいますようお願い致します。
GDPR logo
Privacy Overview

This website uses cookies so that we can provide you with the best user experience possible. Cookie information is stored in your browser and performs functions such as recognising you when you return to our website and helping our team to understand which sections of the website you find most interesting and useful.